日本を代表する建築家、隈研吾の建築を見て回ろう
東京オリンピックの新国立競技場のデザインを任されたことでも有名な建築家、隈研吾氏。
彼は日本的な美的感覚をもったまま、世界中のモダンな建築を作り続けている稀有
なデザイナーです。日本人の持っている美的感覚や、自然との調和といった精神を
理解するのに、大量の論文は必要としません。
彼が作り上げた建築物を見た方が説得力がありますし、瞬時に理解できると
思います。さっそく東京にある彼の建築物を見て回りましょう。
新国立競技場
全体のフォルム、木の質感、周囲の環境との調和などが美しい新国立競技場。
日本を感じさせる佇まいの秘密には、隈氏が大切にする「自然に溶け込み、馴染むこと」
がテーマになっています
今回の立地は明治神宮の外苑にあたり、そこには神社の杜が広がっています。
その景色や歴史と馴染むように、日本らしい「木でできた和のテイスト」を基調としながら
最新の設備をもったハイテク競技場でもあります。
南青山サニーヒルズ
台湾のパイナップールケーキショップの東京第一号店舗です。
来訪者に強烈なインパクトを与える外観は、日本の伝統的な木工技術である「地獄組み」
と呼ばれる釘を使わずに組み上げる手法で、三次元的にきわめて複雑に構成されており、
熟練スタッフにより丁寧に組み上げることで、構造的にも強度を高めています。
店内は森の中のように柔らかな木漏れ日に包まれ、
夜は建物全体が灯籠のように周囲の暗闇に幻想的に浮かび上がります。
ダイワユビキタス学術研究館
コンクリートや金属、石などの硬質材料からなるキャンパスのイメージを払拭し、
木と土などの天然素材でつくられたソフトな建物をということで設計されたのだそうです
中には和食界を代表する若手、黒木純氏による和菓子と、スペシャルティコーヒー専門店、
猿田彦珈琲のコラボレーションカフェが入っています。
廚菓子くろぎ一番のおすすめメニューは、蕨もち。
お土産でテイクアウトで購入することもできますが、イートインでいただく蕨もちは
本蕨粉100%だけで作られた希少価値の高いワラビの根を原料としたもの。
蕨もちは注文してから本蕨粉で煉り上げた作り立てをいただくことができ、
そのため賞味期限がわずか30分。
時間が経つと、作りたての蕨もちは氷水の中でどんどん形が崩れていき、くっついてしまいます。
運ばれてきたら早めに召し上がってみてください。
角川武蔵野ミュージアム
大地から隆起した建築物のようなダイナミックな存在感を放っており、
見るものを釘づけにします
20世紀の建築はコンクリートと鉄という大量生産素材の時代でしたが
、これからの建築は物質というものをもう一度取り戻すべきだとの考えから、
人間が昔から扱ってきた素材「木」と「石」にこだわるようになったのだとか。
同時期に設計した「国立競技場」を「木」の代表とすれば、「石」の代表となるのが
このミュージアムなのだといえます。
普通の日本人は大量のインターネットの情報の渦の中、日本の伝統的なものをどんどん忘れて
失っていきますが、デザイナーは逆に伝統的なものを活用して最先端のものを
作り上げているという事実は本当に興味深いと思います。